近所の河川の工事で、コンクリートを使って石を積みました。
その方法と注意点をまとめておきます。
カラ石積みと練り石積み
土留め工事としての石積みには、いろいろな方法があるんですが、コンクリートを使うか使わないかで分類すると、次のようになります。
- 練り石積み(ねりいしづみ)・・コンクリートを使う
長所・・適当に積んでも、崩れにくい
短所・・お金が余計にかかる。積みなおしは困難。 - 空石積み(からいしづみ)・・・コンクリートを使わない
長所・・世界遺産になるほど、丈夫なものがある。
短所・・しっかり積むには10年くらい修業が必要(笑)
今回は、河川の石積みで、コンクリートを使うよう設計されていましたので、
気軽に積んでみます(笑)
まずは出来形の予定、丁張をつくる
まずは、石を積み、どんな形に作るかを、
丁張(ちょうはり、遣り方ともいう)
を建てます。杭を打って、ぬき板で石積みの高さや勾配を決めます。
石積みの場合、擁壁などと違って、勾配をつけて積んでいきます。
今回は2分勾配。1メートルの高さでうしろに20㎝下がっていく勾配です。
すでにU字溝と止水壁が施工され、砕石で埋め戻して転圧してあり、これが石積みの基礎砕石となります。
水糸を張って1段目
丁張の、地盤面となる場所に水糸を張り、勾配を合わせて1段目の石を並べていきます。
水糸は、地盤面から同じ高さで上げていき、2本張ってみると勾配がよくわかると思います。
1段目の石を特に、
根石(ねいし)
と呼びます。
隣の石に斜めに立てかけていく積み方を、
谷積み
と言います。河川の石積みには、よく使われるやり方で、石のサイズがそろっている場合には、素早く積んでいくことができる積み方です。
石の勾配をそろえるため、石の後ろの方(ひかえ)に、小石をかい(はさみ)ます。
かい石を作るため、張り回しや大ハンマーで石を割ります。
裏板を当て、コンクリートを流し込みます
1段目を並べ終わったら、プラスチックでできた裏板を当てて、さらにその裏に砕石を入れます。
裏板は、段ボールなんかでも代用(この場合は使い捨て)できますし、そもそも石積みの裏をそんなに掘っていなければ不要です。
こちらは上流側。
石積みの分しか掘っていませんので、裏板は不要です。
石と裏板の間にコンクリートを流し込み、バイブレーターで締固めます。
DIYなどで、バイブレーターが無い場合は、鉄筋などでよくつついて締固めます。
コンクリートは18-8-20BBが指定でしたが、真冬の施工のため水が少なく配合された、24-8-20BBというものを使用。少し強度のある、硬めのコンクリートとなります。
DIYでコンクリートをつくる記事はこちら
2段目も一緒です
一段目が終ったら、裏板を引き抜き、2段目を積んでいきます。
谷積みの場合、次の段は反対に斜めに立てかけていきます。
この場合も、水糸を同じピッチで上げていき、勾配と石のかみ合わせを見ながら積んでいきます。
天端(てんば)は型枠を入れました
石積み自体は3段で終了。
いちばん上の段
天端(てんば)
は裏板でなく型枠を入れ、出来上がりがキレイになるようにしました。
この石積み自体は1日で終了。
次の日に、川の底に石を並べて3面張りとします。
冬のコンクリート仕事では、生コンが凍ってしまいますので、毎回練炭を焚いて給熱養生します。
凍ってしまったコンクリートには、強度はありません。
この2連の練炭コンロは、上に火をつけるととろ火で約20時間、火をつけた面を合わせると高温で約8時間燃え続けていました。
DIYでコンクリートを使う場合はなるべくなら冬を避けたいですが、石油ストーブや、電気があれば電気ストーブ、オイルヒーター、投光器などで保温しましょう。
完成
次の日に川底に石を並べてモルタルで目地をかいます。その際に、壁面の目地も一緒に仕上げます。
目地を仕上げるには、大きめの刷毛を使うとキレイに仕上がります。
型枠は、高炉セメント(BB)の場合は、約9日間後にばらします。
コンクリートの所定の強度が出るのは28日後となりますので、それまでは衝撃を与えたりしないようにします。
また、コンクリートは、気温によって収縮しますので、10メートル以上の長さを施工する場合には、
収縮目地
というものが必要になってきます。
コンクリートを使った石積みでは、石を割ったり削ったりせずに、比較的強度のある石積みが出来ますので、DIYでも挑戦できるとおもいます。
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