山に住むということは、斜面に住むということなんです。
古来より人類は、斜面を加工して、平らな土地を作り、そこに生活してきました。
様々な方法で、土留めを作り、流れる斜面をコントロールしてきたのです。
そこで、今回はいろいろな土留め工を紹介したいと思います。
親杭・よこ矢板工法
単管パイプなどで杭を打ち、足場板を矢板(やいた)として利用した土留め工です。
土留め工に必要な幅が10㎝もあればいいですので、作業量は少なくて済みます。
ただし、あまり長持ちはしません。矢板の方に防腐処理をすれば、10年くらいはもちますので、その間には斜面も落ち着いてくるかもしれません。
ただ、単管の杭や矢板を購入すると、それなりにコストはかかります。
この工法なら、DIYでもできそうですね。
こちらもおすすめ>>いちばん簡単な土留め工【ニッケンフェンス&メタル・とまるくん】の施工と経過観察
親杭・横丸太工法
この工法は、親杭横矢板工法と似ていますが、杭や土留めに丸太を使っています。
山の中の林道の応急処置なんかにはよく使われますね。伐採した丸太をそのまま使えますので、丸太さえ手に入れば簡単につくれます。
杭の作り方>>チェンソーで丸太を三角錐に切る方法 杭を作る
しかし、この杭を大ハンマーやカケヤで打ち込むのはかなりの重労働です。重機が欲しくなるかもしれません。
人力で打ち込む場合、ダブルスコップという穴を掘る道具がありますので、穴を掘ってから打ち込んだ方が楽です。
参考記事>>丸太(擬木)の杭を打って 鹿よけにロープを張る シェードガーデンの完成
皮むき器で丸太の皮をむいてから、防腐剤などを塗り、そのあとに施工すれば、20年くらいは持つと思います。
ガーデニングで使う場合はこちらの方がキレイですし、虫もわきにくいです。
参考記事>>針金【番線】のしばり方
練り石積み・手積み工
手で持ち上げられるくらいの石を集めて、モルタルで積み上げていく工法です。
レンガ積みみたいな感じです。
石さえ手に入れば、ローコストで出来る土留め工です。目地の部分が、縦に通らないように積んでいけば、耐久性は半永久的です。
DIYでつくる土留め工としては、一番おすすめです。
参考記事>>井戸周辺のランドスケープは石積みで
カラ石積み工
モルタルを使わない石積み工を、
カラ積み
などと言いますが、ロックガーデンなんかにはこちらの方が植物が植えられますのでおすすめです。
テラスガーデンで、壁面にタイムなんかを這わせてもおしゃれです。
写真は巨石を重機を使って積んだ石積みです。これはもう、業者に頼んだ方が早いでしょう。
もちろん、丁寧に積んでいけば、小さな石でも崩れずに土留めになるでしょう。
昔はセメントなんかありませんでしたが、世界遺産になるような石積みが世界中にありますね。
姫路城とかマチュピチュとか。
すべてカラ石積み工です。日本では、
あのう衆
という職人の集団が、城壁の石積みでは有名です。
これは、私です。石積みでも全く無名の人です(笑)
このような積み方を
乱積み
といいます。比較的低い石積みで、植物を植えたいときなんかにはよく施工します。石と相性のいい、
- タイム(ジャコウソウ)
- シバザクラ
- 矮性のコニファー
- さつき
なんかをすき間に植えると、カッコよくなります。
参考記事>>庭石の動かし方 DIYで石を動かす
野面積み
のづらづみ。石の平らな面をそろえて積む石積みです。
乱積みに対してこのように呼びますが、技術的には難しい積み方です。
こちらもセメントを使っていますので、練り石積み工でもあります。
コンクリートの擁壁
公共工事で施工された、コンクリートの擁壁。
ラベンダーが植わってはいますが、あまり面白くはないですね。
このほかにも、コンクリートの
間知(けんち)ブロック
を積む工法もありますが、こちらも面白くありません。素人にはどちらもおんなじに見えます。作るのは大変なんですけどね。
昔は、この工法でも、職人の作った、自然石の間知石を積んでいました。
東京の、山手線の沿線なんかにも、けっこうありますね。
参考記事>>コンクリートで桝【ます】を作る 備忘録
じゃかご・布団かご工
針金で作られたかごの中に、石を積む工法です。
水が出るところなんかに使われます。丁寧にひとつひとつ積んでいきます。
こちらもおすすめ>>真夏のガーデニング でももう秋の気配を感じます
記事を読んで、土留め工のDIYに挑戦された、石川薪エ門さんの記事はこちら↓
>>草むしりをしていて40㎝の段差にDIYで土留め石を設置したくなった
コメント