前回の記事では、シカに食べられやすい樹木を紹介しました。
前回の記事>>鹿の食べたい樹木 その傾向と対策
その中で、ドイツトウヒを取り上げましたが、この木は倒れやすい木でもあるんです。
今回は、この八ヶ岳山麓に自生する樹木の中で、台風などで倒れやすい木を紹介したいと思います。
倒れない木はありません
いきなりですが、立っている樹木の中で、倒れない木はありません。
1959年の伊勢湾台風
では、八ヶ岳の木はほとんど倒れたと、地元の古老は言います。
その倒木の搬出には、近隣の林業家のみならず、農家の方々もご苦労なさったと聞きます。
写真は比較的倒れにくいと思っていた
ミズナラ
ですが、根こそぎ倒れています。
なので、いろいろある樹木の中でも、
倒木が多いなー
と感じた樹木のレポートであることを、最初にお断りしておきます。
ワーストワン ドイツトウヒ
シカも大好きなドイツトウヒですが、倒木選手権でも
ワーストワン
です。
チェンソーで切ってみるとわかるんですが、材は非常に柔らかいです。
にもかかわらず、枝は見事なまでに多く、葉っぱや松ぼっくりは重たいんです。
全身で風を受け止めやすく、途中から折れたり、根こそぎ倒れたり。
頭でっかちなんですね。材が柔らかいということは、根っこも柔らかいです。
さらに、あまり深く根を張りません。
園芸用や、クリスマスツリーとして植えることがおおいですが、あまり大きくさせるのは得策ではありません。
せん定などをして、適度な大きさに保ちましょう。
参考記事>>リースづくりに 大きな松ぼっくりと小さな松ぼっくり
ワーストツー 赤松
赤松も、材が柔らかいです。
柔らかいわりに、重量は重たい方です。
さらに、まっすぐにすくすくと成長することはまれで、傾いていることが多いことも倒れやすい一因でしょう。
枝も太くなりがちで、重たいです。
さらに、マツノザイセンチュウによる
松枯れ病
が、全国的に広がっていて、恐ろしいほどの勢いで枯れた赤松が量産されていますので、
新しく自分の敷地に植えるのはやめた方が賢明です。
赤松が愛車に直撃!
こうなる前に伐採することを強くおすすめします。
車検代くらいで済んだはずです。
赤松の根っこは深く張っていることが多いですが、
根っこから逝っちゃうこともこともあります。
ワーストスリー ヤマナラシ
ヤナギ科のヤマナラシは、材が柔らかいのに、大木になっちゃいます。
いわゆる、ポプラ、アスペン。
割りばしなんかにも使われていますね。
写真のヤマナラシは、直径実に60㎝、高さ25メートルもあった大木で、台風でたおれ、屋根を直撃しました。
直撃された方はもうめちゃくちゃで、その被害額は3桁超だったはずです。
伐採していれば2桁前半ですんだでしょう。
さらに、大木の中には、中が腐っているものもあって、非常に厄介です。
成長が早い樹木ですので、危険の芽は早めに摘み取っておきましょう。
ワーストフォー 白樺、特にチャーガ付き
いかにも信州の高原を感じさせる樹木、白樺ですが、この木も倒れやすいです。
そもそも寿命が短い木です。
新たな土地に真っ先に入り込んできて、ほかの樹木が成長してくるといつの間にか枯れていく、はかないやつなんです。
小さいうちは、植木で植える人も多いですが、樹高が10メートルを超えてきたら要注意です。伐採して、新しく更新させましょう。
うまくいけば、伐採した切り株から、株立ちの芽が生えてくるので、3本か5本くらいを育てていけばまた楽しめるかもしれません。
あとこれ。森のダイヤモンドと呼ばれる
チャーガ。
色々な効能があるようですけど、私は専門外なのでここでは言及しませんが、八ヶ岳山麓の森でも結構見かけることがあります。
もちろん、みつけたらとってきますけど。
このきのこが付いた白樺は、弱っていますのでたおれやすいです。倒れたやつから、たくさん採取したことがあります。要注意です。
ワーストファイブ からまつ
ワーストファイブとはいえ、八ヶ岳山麓の大半はカラマツ林ですので、絶対数が多いです。
なので、倒れている数も必然的に目につきますが、割合的にはそれほどでもないでしょう。
写真は、電線の引き込み線に引っ掛かって、ガラスの破損を免れたラッキーなケースです。
とはいえ、これを処理するのは大変ですね。
さらに、白樺のチャーガも同じですが、
タコウキン属、カイメンタケ
などのきのこが付いている木は要注意です。中が腐っています。
見かけたら、伐採をおすすめします。
まとめ
八ヶ岳山麓で倒れやすい木、ワースト5は、
- ドイツトウヒ
- アカマツ
- ヤマナラシ
- シラカバ
- カラマツ
でした。
ですが、倒れない樹木はありませんので、日々の観察と、はやめの手入れをおすすめします。
コメント
初めまして、国産松専門店として創業71年 山崎木材有限会社 山崎と申します。
令和では珍しい 国産カラ松 杭丸太 チェーンソー 先付け加工をしています(笑)
こちらのブログのリンクを無断転載して申し訳ございません。
もし問題等ございましたら削除致しますので、お手数をおかけ致しますが弊社メールアドレスまでご連絡ください。
http://jimatsuyama.sblo.jp/archives/20220119-1.html
長野県~岐阜県~静岡県も立ち枯れの赤松が目立つようになりましたね。
本記事にコメントしたのは私の祖父も昔伐採をしており、伊賀名張の山の赤松で数人が命を落とすのを間近で見たと教えてもらいました。
今では高値である国産松茸を山師さんがたくさんくれたり、良き時代でした。
昨年5月頃よりウッドショックによる桧の値上がりにより生きた国産松の出材は本当に少なくなりました。
プラス杉や桧に比べて地松は伐採が怖いとよく伐採業者の大先輩方よりお話を伺っています。
どうかブログ主さんもチルホールにて安全第一に伐採作業を心掛けて頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
長文失礼しました。
山崎木材さま
コメントありがとうございます。ホームページ拝見させていただきました。
転載大歓迎です(笑)
信州のこのあたりには、ヒノキはほとんどなく、カラマツがほとんどで、その中にアカマツや雑木がある感じです。
マツタケもアカマツ林にもはえますが、コメツガに生える
ツガマツタケ
が多いんです。
わたしも、できればアカマツの伐採は、したくないんです(笑)