伐採作業や薪づくりの強い味方、チェンソー。
快適な作業や、危険の防止のため、定期的なメンテナンスが必要です。
取り扱い説明書には、使用頻度に応じて、メンテナンスするべきスケジュール項目が書いてあります。
今回整備するチェンソーは、ハスクバーナ545。
薪づくりの主力機種となります。
なお、このスケジュールは、ハスクバーナの取扱説明書に沿って行うものです。
そこに、スチールチェンソーの取扱説明書も今回読み込んでみて、補足を加えたものとなります。
ご自分のチェンソーの取説とも照らし合わせ、参考にしていただければ幸いです。
参考記事>>
毎日(作業をする日の前後)メンテナンスする項目
ハスクバーナのメンテナンス・スケジュールをみると、毎日(作業する日)のメンテナンスの項目がたくさんあります。
多くて大変ですが、作業前と作業後の項目がありますので、メンテナンスの流れを作り、目立てなどを途中にはさむなどすれば、ルーティンワークとしてこなしていくことが出来そうです。
いちばん大事な【清掃・点検】は作業後に
毎日必ず行いたい作業として、チェンソーの清掃があげられます。
使用後には、エアーコンプレッサーでゴミを吹き飛ばしておきます。
コンプレッサーが無い場合でも、パーツクリーナーとウエスなどで綺麗に汚れを落としていきます。
キレイに掃除する際に、
- スロットルトリガーに異常はないか。
- オン・オフスイッチに異常がないか。
- 各取付ネジが緩んでいないか(防振装置・マフラーなども)。
- 混合油・チェンオイルタンクからの漏れがないか。
なども確認しておきます。
チェーンキャッチャーの点検
さらに清掃の際に点検しておくものとして、チェーンキャッチャーがあります(指先のアルミの部品)。
これは、使用中にソーチェーンがガイドバーから外れたときに、あなたの身体を守る大事なものです。
破損してないか、ガタが無いかを必ず点検しておきます。
ソーチェーンの目立て・点検
切れないソーチェーンで作業していては、効率も悪いし、ガイドバーも過熱してしまいます。
よく切れるように、目立てをします。
この際、リンクやリベット、カッターに亀裂などが無いかも点検しておきます。
もし亀裂などがあれば、交換します。
目立てのアイテムとして、ハスクバーナの目立てキットは最高の切れ味が得られますのでおすすめです。
やすりのサイズのあったセットを選びましょう。
実は私は、電動の目立て機も使っています。
こちらは、簡単にデプスゲージも一緒に研磨できる、
ツムラの目立て機・匠
参考記事>>
ガイドバーの清掃・グリスアップ
ガイドバーの清掃は、ガイドバーを外して行います。
溝にたまったおがくずを、針金などで掻き出します。
ガイドバーの根元には、ソーチェーンを張るための穴と、チェンオイルを注油するための穴が開いています(一緒のものもある)。
ここが詰まっていると、ソーチェーンにオイルがいきわたりません
ので、針金などでキレイにしておきます。
掃除が終わったら、ガイドバーとドライブスプロケットにソーチェーンをしっかりとかませてバーを取り付けます。
この際、
ガイドバーが均一に摩耗していくよう、
毎回上下をひっくり返して取り付けます。
ソーチェーンの下側にたるみが無いよう、かつ、手で回るくらいの張りでソーチェーンを張っておきます。
先端ノーズスプロケットに、グリスの注油孔があります。
こちらにもグリスアップします。
グリスアップには、こちらが便利。
チェンブレーキの清掃
ガイドバーを外したついでに、チェンブレーキの清掃をしておきます。
ブレーキは、リングになっていて、これが締まると効くようになっています。
普段は隙間が少しずつあって、ここにおがくずやほこりとオイルがまざって、高温になってこう着していますのでパーツクリーナーとブラシや細い針金などで掃除します。
ドライブスプロケットの点検
ソーチェーンを組み込む前に、ドライブスプロケットも点検しておきます。
すき間から目視しても、減り具合などはよくわからないかもしれません。
破損などが無いか、確認しましょう。
ハスクバーナによれば、ソーチェーンを交換するごとにリムスプロケットも交換、とありますが、経験的にはもう少し使っていても大丈夫です。
スチールでは、ソーチェーン2本ごとに交換を推奨、その2本のソーチェーンを交互に使うことが推奨されています。
チェンブレーキの作動点検と、チェンオイルの確認、作業前の点検
作業前に必ず行いたい点検として、ブレーキのチェックがあります。
チェンソーのエンジンを止めた状態で、ガイドバーの先端を水平から丸太の上に落とします。
この時、チェンブレーキがかかるか確認。
エンジンをかけ、チェンソーを両手でしっかりと保持して、フルスロットルにして、手首でチェンブレーキをかけてみて、しっかりとストップすることも確認しておきます。
その後、ブレーキを解除して、丸太などに先端を向けてチェンソーを3/4スロットルで回転させます。
丸太に、オイルが飛散して、オイルの線が確認できればチェンオイルが潤滑されています。
もし、オイルの量が少ない様であれば調整できるモデルでは調整します。
調整できないモデルであれば、オイルの粘度で調整するほかありません。
毎週メンテナンスする項目
毎週メンテナンスする項目は、分解する部分なども増え、もう少し手間のかかる作業となります。
使用頻度にもよりますが、1週間くらいの時間を使用した後行います。
冷却システムの清掃
多くのチェンソーは、2サイクル空冷エンジンが搭載されています。
エンジンについた冷却フィンに、回転するシロッコファン状の風車から空気を送り込んで冷却しています。
こちらが汚れていると、エンジンが過熱し、最悪の場合は焼き付いてしまいますので、キレイにしておきます。
冷却ファンを掃除するには、スターターハウジングを外して、中の金属部分をすべて清掃します。
パーツクリーナーやエアーコンプレッサーを使って、キレイにします。
スターターロープの点検
スターターハウジングを外すと、その裏側にスターターロープが付いています。
こちらもロープが切れそうでないか確認します。
スターターロープの交換方法は、また今度記事にします。
ニードルベアリングに注油
クラッチドラムの真ん中に、ニードルベアリングの注油孔がありますので、グリスを注油。
こちらのグリースガンも、チェンソーには使いやすいです。
ガイドバーのバリを取る
ガイドバーには、しばらく使っているとバリが出てきます。
目立てセットなどに入っている、平やすりでバリを削り取ります。
マフラーのスパーク除去ネットの清掃
このモデルには、マフラーの出口に、火花が噴き出ないようにネットが付いています。
山林の伐採などで、この火花が原因で山火事など起きないよう、外してブラシなどで掃除をします。
焼け切れていたりするようでしたら、交換が必要です。
エアクリーナーとキャブレター周りの清掃
エアクリーナーを外して清掃します。
エアクリーナーを外す際には、チェンソーのチョークを閉じておくと、汚れが入りづらいので必ず閉じておきます。
エアクリーナーの下には、キャブレーターが付いています。
エアーインテーク部分にゴミが入らないように注意して、周りを清掃します。
今回、インテーク内側にオイル汚れがこびりついていましたので、ウエスとパーツクリーナーで掃除して、新しいエアクリーナーを注文して交換しました。
毎月行うメンテナンス
毎月行うメンテナンスとしては、次の項目があります。
ブレーキバンドの点検
ブレーキの点検は、毎日行う項目として清掃と効き具合を点検しています。
ここでの点検は、ブレーキバンドの厚みを測定することとなりますが、バンドを外して厚みを点検するのは大変ですので、ブレーキの利きが悪くなってきたら交換、という感じでいいと思います。
スパークプラグの点検・清掃
スパークプラグを外して清掃します。
恥ずかしながら、こちらは購入してから一度も点検していませんでした(4年間!笑)
かなり汚れていますので、新品に交換となりました。
ハスクバーナでは、
月に1度交換、
スチールチェンソーの交換基準値は、
100時間ごと、
とあります。
プラグがかぶった、
などの場合の清掃はともかく、プラグギャップ調整などするよりは、価格も安いですので交換することをお勧めします。
燃料フィルターと燃料ホースの点検
燃料フィルターを、曲げた針金などで引っ張り出して点検します。
こちらも、汚れていたら交換したほうがよいでしょう。
配線の状態
配線がすりきれていないか、接続カプラーが外れていないかなどを点検します。
もっとも、配線がおかしければ、機械が正常には作動しないと思います。
燃料タンクとオイルタンクをカラにする
こちらは、月イチの点検というより、しばらくチェンソーを使う予定がない場合は、必ず行っておきます。
まとめ、全部やるのは大変そうですが・・
私の古いチェンソーも、いまだに現役バリバリです。
今回、ハスクバーナのメンテナンス・スケジュールに従って説明をしてきましたが、これを全部やるのは結構大変そうですね。
ましてや、チェンソーが何台もあるとなおさらです。
大まかに作業前と作業後、作業の途中などの流れで説明をしたつもりですが、点検と整備に時間を取られて、肝心の伐採作業、薪づくりか進まなければ本末転倒ですよね。
作業前の安全に関する点検は必ず行うとして、あとは
- 天気の悪い日にまとめて面倒を見る。
- 暗くなってから、工房で点検整備する。
など工夫をして、いつまでも最高の性能を発揮できるように付き合っていきたいものです。
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