連日の大雨で、熱海市で痛ましい災害が起きてしまいました。
メガソーラー発電所のせい?
盛り土のせい?
連日、マスコミでは様々な憶測が報道されていますが、土木のプロから見れば、あれは盛り土ではなく、
残土捨て場
にしか見えないんです。
残土受け入れは金になる
土木工事を行うと、残土が出ます。
土を掘って、コンクリートや砕石に入れ替える工事が多いため、最終的には土が余ってくるんです。
良質な土は、盛り土にも使われますが、そうでない土は、
クソみそ一緒
に、残土捨て場へと運ばれます。
そこにゴミがまざっていても知らんぷりです。
なんの利用価値もない、沢筋の山林。
こんな土地を、悪質な建設業者が
二束三文で
購入し、人知れず残土を受け入れ、荒稼ぎしているのです。
盛り土には、厳しい品質管理があります
盛り土のわかりやすい例は、河川の堤防です。
こういった工事は、大手ゼネコンが施工管理していることが多く、
- 盛り土に適した土なのか?
- 転圧(土を固めること)は、30㎝ごとに行い、所定の締固め度になっているか?
- 適切なのり面こう配、のり面保護がなされているか。
- 土留めが必要な場合の適切な施工。
などを、厳しく管理しています。
そんな河川の堤防でも、
想定外の大雨
で、決壊することもあるのは、皆さんご存じのとおりで、わが長野県においても、
千曲川の決壊
という、悲惨な災害が起きたのは、記憶に新しいところです。
ちなみに、盛り土の反対は、
切土(きりど)
となります。
悪質な業者には法律の整備が必要
悪質な業者のやり方はこうです。
まず、土がたくさん入りそうな土地を購入
元の地主は、こういった土地の利用価値がないため、喜んで手放すことが多いです。
先祖から受け継いだ、
山を守る、
という地主さんの良心が問われます。
つぎに、適当な理由をつけて、木を伐採
伐採届などは、きちんと提出しているんです。
畑にしたいとか、倉庫を建てたいとか。理由なんて、何でもいいんです。
伐採した材木を搬出して販売すればまだかわいいほうで、悪質な業者は、伐採した樹木、枝などを、
いつの間にか埋めてしまいます。
指摘されても、
これは、いつか
薪にする
などといって、知らんぷり。
次の日には、消えてなくなってるんです。
何も下準備せずに土を入れ始める
本来は、盛り土をする際、もともとあった
腐植土
や
木の根っこ
などを撤去し、地山(元の地盤)と盛り土の間には、
湧水の処理
が必要です。これを行なわないと、そこから残土が滑り始めます。
災害は、水が引き起こすことが多いので、水の処理は最も重要です。
また、木もいつか腐ってしまうので、
埋めるなんてもってのほかです(これは、法律違反でもあります)。
こんな残土捨て場は危険
悪質な業者の残土捨て場には、適切な
土留め工
をしてあることは、まずないです。
写真のブロックは、土留め用のブロックではなく、生コン業者が余った生コンを箱に詰めていったブロックです。
ブロックに縞々の継ぎ目があるのは、毎日余った生コンを足していったからです。
もともと、捨てるものですので、タダでくれるか、非常に安価で売ってくれるんです。
高さと幅が1メートル、長さ2メートルですので、重さは約5トンあります。
重たいので土留めにいいような気もしますが、積みすぎると滑ってきて崩壊します。
このようなブロックを積みすぎて、死亡事故も起きています。
参考記事>>写真で見る労働災害ニュース ブロック崩れ男性1人死亡
この事故も、あきらかに残土捨て場でしょう。
残土捨て場への、早急な法律の整備が望まれます。
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