スチールのチェンソー、
MS261CM
は排気量50㏄クラスのチェンソーのなかではプロに大人気の電子制御のチェンソーです。今回の現場はこのチェンソーでカラマツの伐採です。
今回の伐採の道具たち
今回伐採するカラマツは太くて枝ぶりもよく、ぎゅうぎゅうに植林されたヒョロヒョロのカラマツと区別して、これを私たちは「テンカラ」と呼んでいます。天然のカラマツという意味ですね。
素性もよく、たおしたい方向にすこし傾いているのでチェンソー1本で倒せそうです。
それでも、伐採作業では何があるかわかりませんので、私はいつも予備のチェンソーを必ず持っていきます。枝払い用にスチール023と、
ハスクバーナ560XP
を持ってきました。こちらはハスクの60ccの電子制御の大人気機種で、この一つ下のモデル
ハスクバーナ550XP
は、50ccチェンソーの中ではスチールのMS261CMと人気を2分する機種ですね。ただ最近は、スチールの旧式の販売方法のせいか(いつまで続ける気なんでしょう)、山で会う木こりたちはハスクバーナの比率が多くなった気がします(個人の感想です)。
スチールMS261が小さく見えますね。
まずは「受け口」を作ります
受け口とは木を倒したい方向の1/4(大径木は1/3)程度まで切り込みを入れることを言います。角度は35度から45度くらいです。
この切り口が向いている方向で、ほとんど倒れる方向が決まってしまいますのでかなり慎重に。切り口が重なる「会合線」にチェンソーのバーをあてて、ガンマークで確認しましょう。
写真のハスクバーナ560XPの赤い矢印のところにある黒い線がガンマークで、反対側にもついています。この線で照準をあわせて、15メートル位先の目標に向かうよう調整します。
もし合わない場合は何回でも修正しましょう。写真の受け口は修正しすぎて大きくなってしまいましたが、木はまだ倒れませんので大丈夫です。
追い口を切り進み伐倒
次に追い口を切り進みます。受け口の水平ラインより木の直径の20%くらい上の高さを切り進めます。
赤いラインですね。
ここで、黄色いライン
ツル
を残すことが重要で、これがないと木は完全にフリーになってどこに倒れてくるかわかりません。ツルは直径の1/10程度残します。
今回のカラマツは直径が85㎝ありまして、ツルは8.5㎝くらい残せばいいわけです。チェンソーのバーが45㎝ですので、半分ずつ刃を入れていきます。
反対側のツル付近まで切り進んでいくと、木が倒れ始めましたので、私は安全な場所に避難しました。写真を撮っている余裕がなかなかないですねー。
切り株は大切な情報源・倒れた後の検証をしましょう
伐採をした後の切り株は、自分の技術を向上させるための大切な情報源です。必ず検証するようにしています。
このフィードバックの積み重ね以外、伐採技術の向上はあり得ません。
今回は、バーの長さがギリギリでした。写真のバーの方を切っているうちに木が倒れ始めましたので段差がついていますね。
スケールに沿ってギザギザにむしれた跡が、
ツル
でして、ここが最後まで蝶つがいの役割をはたしていてくれたのです。
まっすぐな木はクサビを打って倒す
追い口を切りながらクサビを打ち込み、重心を倒したい方向へ傾けていくと木は倒れていきます。
クサビは必ず2つ以上打ち込みましょう。伐倒用のクサビはたいていプラスチックでできていて、チェンソーの刃が当たってもいいようになっています。
現場で硬い雑木をチェンソーで切って作ることもあります。
クサビでの伐倒は、あまり無理な起こし切りはできませんので、そういった場合はチルホールなどでけん引しなければならないでしょう。
参考記事>>太陽光発電所の支障木「ハルニレ」をチルホールけん引で伐る
>>ハスクバーナのプロ用チェンソー 560xpとバローべのクサビでカラマツの伐採【中級編】
まとめ サン・ニー・イチでバッターン
以上、木は太いですが、基本的な伐採方法を紹介しました。
現場で全部覚えておくのは難しいので、私はこんな風に覚えています。
まず、心の中で安全と、伐採する木への感謝を込めて祈ります。
そして、木の直径の
- サン・・3分の1を3角にきって(受け口)、
- ニー・・2割くらい上を切って(追い口)
- イチ・・1割残せば(ツルをのこせば)
- バッターンと倒れます(伐倒・バットウといいます)
ふざけているようですが、伐採の最中は心臓がバクバク、恐怖心に負けないで冷静に作業するために簡単に覚えられるようにしているのです。
こちらもおすすめ>>スチールMS261CMのガンマークを使って正確に木を倒す 伐倒中級編
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